店主たちのブログ
アカイモノ
いつもはたくさんのお客様と店猫で賑わっている店内ですが、本日はあいにくの雨。それに少し肌寒い。猫はお気に入りの棚に潜り込み、早くも冬眠のご様子。いつものお客様方はきっとお家でのんびりされているのでしょう。では、せっかくお店も暇なのでアカイモノで遊んでみましょうか。嬉々として先日「道の駅」で調達した唐辛子を取り出します。不思議な動きをしている私を見つけ、すぐに若いスタッフが近寄ってきました。「今から料理ですか?」と。いいえ、これは生唐辛子。今から遊ぶのよ、と伝えるとスタッフは目を丸くして見つめ返しました。興味津々な彼女をよそに、さっそく遊び始めます。このまま料理につかうのは勿体無い。まずは遊んで味わい、見て味わい、それからゆっくりいただくのです。

まずは、ナチュラル素材の紐を100均で買ってきましょう。あら、紐は値札用に使っていたものが余っていますね、それを使いましょう。”お金をかけずにあるもので”、は「遊び」の極意。紐を適当な長さに切り、スーッ、スーッ、スーッと唐辛子を差し込んでいく。

え?もう終わりですか?スタッフが私の手元をのぞきこみます。

「わー!素敵!」。私、にんまり。得意げになり、スタッフに説明します。「これはね、こうして吊り下げて飾るのよ。鮮やかな赤色と自然素材の紐が田舎の優しいニュアンスを出すの。和風のお部屋に飾ったり、ナチュラルキッチン風の台所に飾っても素敵ね。しばらく吊るしておくと、唐辛子が乾いてくるから、必要なときに抜き取ってお料理に使うの。」

これぞ、1つの素材で3つの楽しみ。創作時間は5分程度なので、どんな方でも飽きずに遊べます。紐の色や素材を変えてもニュアンスの違う出来上がりをお楽しみいただけますよ。
物は考えよう
こんにちは。10月に入りすっかり秋の色に染まってきました。
今日はガラス物の整理をしています。当店には陶磁器・骨董品だけでなく昭和レトロなお品もたくさんあります。古いお人形、電話機、レトロ看板など、情緒あふれる昭和のグッズは手作りの温かみがあり、かすかな心地良さを与えます。

これは、昭和初期の薬瓶です。当時はどこの病院でも見られるお品でしたが、現在では1本2,000円~3,000円で売られている貴重なお品。艶の良い飴色といい、絵に描いたような薬瓶の造形といい、置くだけでレトロな洒落感を思わせる風貌です。懐かしい!と思わずたくさん入荷しましたが、ただ並べているだけではこの良さをお客様に伝えることはできません。さて、どうしたものか。ガラス瓶の前に座り込み、しばらくにらめっこをしていると、

若いスタッフの声が。
なるほど、物は考えようです。昔のものを昔のままに使うのはつまらない。頭を使って考えれば、古き良きモノが形を変えて再び現代で輝くことができる。

「早速撮影用にスペースを作りましょう。板を白く塗り、ナチュラルでお洒落な棚を作って。昭和のお皿もナチュラルキッチンに合いますね、この花瓶も、この木の素材もいいですね。」 アイデアがあれよあれよと飛び交い、店内が一気に盛り上がります。田舎の小さな骨董屋にまた1つ新たな楽しみが生まれました。

※昭和の薬瓶をお探しの方はお気軽にお問い合わせください。
昭和レトロの風が吹く 1,575円カラ
土ものには水を。
今日の宮崎県のお天気は快晴。夕方の陽の光が、まるで明治大正期を思わせるロマン灯のごとく、美しく店内に降り注ぎます。せっかくなので模様替えでもしてみましょうか、と重い腰を上げ、先日入荷したばかりの箪笥に目を向けました。高値の材ではないけれど、深茶色の木目が良い味わいを出し古風な飾り棚となりそう。ここに何が似合うだろう、と考えるのも骨董収集の醍醐味。熱い緑茶を飲みながら、まったりと理想図を思い巡らせます。
思い悩んだ末、土ものに決めました。「いずれは土ものにかえる」といわれるほどの独特の風合いと味を持つ土ものは、使っていくうちに色に深みが出、艶が増して味わい深くなります。実用本位と思わせる自然体がいさぎよく、素朴な中に作家の配慮がうかがえます。装飾過多の現代だからこそ、お部屋に1つ飾りたい素朴な名品。奥にしまい込んでいた自然釉の壷をそっと置いてみます。

黒陶に施された自然釉が大変美しい百済の壺。均等のとれた幾何学的な絵図の彫りが独創的で、しかも重厚な佇まいを見せます。装飾にも成形にも多彩な技法が駆使されている見事な逸品。大切なお客様をお迎えするのに十分すぎるお品です。
ところで、土ものを美しく飾るには簡単なコツがあります。

土ものは水に漬ければ水を吸い、酒を入れれば酒を吸って馴染んでいきます。乾いたままだとみずみずしさが出ないので、花を活けないときでも水を入れておくといいでしょう。更に、土ものは手や鼻のあぶらでさえも味わい作りになると言われるほど。飾るばかりではなく、とにかく見て触れて楽しみましょう。

お水を入れると磁肌の色が深みを増し、みずみずしく美しく生き返ります。草花と同じですね、自然のものと水はとても相性が良いのです。
さて、ついでにお庭に水でも撒いてみましょうか。
佐土原人形の見分け方
土の素朴さと温かい彩りが特徴の佐土原人形。当店は、この佐土原人形が生まれた土地、宮崎県の佐土原町にございます。佐土原人形の歴史は大変長く、およそ400年前、島津開藩の時藩主が陶工を迎え入れ日向の国佐土原の城下町に育ったものと言われています。
私の亡き父、田村五平次は骨董品や古民具を好み、何かにつけ買い集めておりましたので、幼い頃から家にはたくさんの土人形が並んでおりました。その中でも特に大事にしていたのは、佐土原人形。父はこの土地を愛し、この土地が生み出すモノたちを大切に守っていたのです。もちろん、幼い私にはフワフワと可愛らしいぬいぐるみのほうが数倍魅力的に見えましたので、土人形を気に留めることもなく ” 父の部屋にあるヘンな飾り物 “ として、少しずつ人形の存在を忘れていきました。それから10年、20年が過ぎ、人形たちはひっそりと静かに父の書斎で眠り続けます。

父が亡くなり数年の月日が経ち、ひょんなことから私は骨董品を集めはじめました。藍色の美しい染付け器、鉄瓶、中国の伝統香炉など、気に入ったものから次々と手に入れました。父の教えを受け継いだのか、血筋なのか、よく分かりませんが、私は父と同様古い物をとても愛し始めていました。週に一度は骨董市や収集家の家に出かけ、歴史が生んだ名品たちに涎をたらします。ある日、とある収集家の方の家に並ぶ、数体の土人形が目に入ってきました。ほんわりと心温まる安らぎ、力強くも美しい存在感、この感覚は何だろう。衝動的に、これはどこの土人形ですか?と聞くと、

と、。
私の生まれ育った町が、こんなにも素晴らしい名品を生み出していたなんて。当時の父の年齢になった今、私ははじめてこの人形の美しさを理解したのです。所の神様ありがたからず、ですね。
佐土原人形 歌舞伎物 (推定制作時期:明治)
さて、それから私は佐土原人形の歴史や種類について調べ始めるわけですが、たくさんの土人形と向き合い土職人と話していくうちに、面白い事実が分かりました。全国には佐土原人形に似た土人形がたくさん存在し、正真正銘の佐土原人形は大変少ないということです。特に玄人が好む歴史あるお品になると、なかなか手に入りません。佐土原人形のルーツは朝鮮ですから、当然似たようなものが存在することはありうるわけですが、見分け方が大変難しい。そこで、職人から伺った佐土原人形の見分け方をここでご紹介いたします。

*こちらは、佐土原人形館の店主から伺った内容です。佐土原人形に個体差があり、必ずしもすべての項目を満たすとは限りませんのであらかじめご了承ください。
世の中には「変わる美しさ」と「変わらない美しさ」が存在します。父が愛した佐土原400年の歴史、これは紛れもなく「変わらない美しさ」であり、守り抜くに値する芸術品です。健やかに気高き佐土原の伝統がこの先もしっかりと根を張り、次の世代で生き延びていくのをこの目で見守っていきましょうか。
手作業の温かい仕事 土人形5,250円から
日本の夏。
日本の夏。残り少ない生命をせいいっぱい生き抜こうと、セミたちの力強い鳴き声で朝が始まります。昼は青々と茂った緑の香りが風に乗って部屋の中に舞い込んで来、夜はかすかな心地よさを感じる涼しい風と美しい虫たちの鳴き声に恵まれます。日本の夏とは本当に風情があり、美しいものです。
さて、先日は数年ぶりに花火大会へ足を伸ばしました。

優雅で美しい火の玉が艶やかに、かつ切なげに空へ上ります。花火が日本で初めて製造されたのは16世紀、人々は何を思い何を感じ、花火を見続けてきたのでしょうか。










